このブログの前々回の投稿に書いた、水彩を始めて気づいたこと「
重ねて描くとにじむ」について、
簡易版のにじみ見本を作り検証したところ、どうも混ざりもののあるインクで下地をつくると、
乾いたあとも上にのせたインクがにじむことがわかりました。
具体的にはクサカベジャンパールやウインザー&ニュートンのイリデッセントメディウム、エコラインのGOLDなど。これらはたとえ乾いても、程度の差はあれど上にのせるインクはにじみます。文字を書けばラインが太くなってしまいます。
おそらく粒子が多ければ多いほどにじむんだと思います。
絵墨「明」なんかは、何も混ぜなくても滲んだので、顔料を多く含んだインクなのかもしれません。
そこで。にじめを止める
「マルチ サイジング」(どうさ液)を買ってためしてみました。
ラベル裏側↓
そもそも、どうさ液とは↓
▶ 礬水液 - どうさえき | 武蔵野美術大学 造形ファイル
http://zokeifile.musabi.ac.jp/礬水液/
私が買った製品は、機能については上記のリンク先にある通りみたいだけど、成分は
アクリル樹脂でした。本来のどうさ液は膠(ニカワ)とミョウバンだそうです。膠は以前古楽器をやっていたときに修復によくつかいました。ようするに昔の接着剤なので、どうさ液をアクリル樹脂入りの水で代用できるというのも納得。
これを塗ってないときと塗ったときの差をみるため、もう一度見本をつくりました。
名村大成堂のアートカリグラフィーインク(ACI)に、各混ざりものインク(クサカベシャインパール/W&Nイリデッセントメディウム/エコラインGOLD/)や金粉を混ぜ合わせたものを下地とし1回塗りと3回塗り、その上に動作液をそれぞれ塗った場合、の4パターンに文字を書いて比較してみました。
文字も、ACI原液→水で4倍に薄めたACI→MARVY For drawing 0.03 と3パターンで書いています。
▶
にじみ見本の詳細写真(たんぶら)
【比較してわかったこと】
☆名村大成堂ACIのみの下地は、にじまない。(
どうさ液不要)
☆絵墨「明」のみの下地と、水彩色鉛筆のみの下地はにじむ。(
どうさ液必要)
特に水彩色鉛筆は2度塗り必要。
☆クサカベ シャインパール(を混ぜたものor単体塗り)の下地はかなりにじむ。(
どうさ液必要)
2〜3度塗り必要。
☆エコラインGOLD(を混ぜたものor単体塗り)の下地はにじむ。(
どうさ液必要) 1度塗りで十分みたい。
☆W&Nイリデッセントメディウム(を混ぜたものor単体塗り)の下地もにじむ。(
どうさ液必要)
単体塗りの場合はよりにじむので、どうさ液も
2〜3度塗り必要。
☆金粉を混ぜた倍もにじむ。(
どうさ液必要) 混ぜた量にもよるが、文字が読める程度の密度なら1度塗りで十分みたい。
効果はてきめんでした。ホルベインさんに感謝。膠入りの液体しか選択肢がなかったなら、私には手が届かなかったと思う。
今後も背景を塗ったあとに文字を書きたいので、どうさ液をうまく活用したいと思います!
ところでいま「
奈良まほろばインク」という新製品を、いつ買おうかなぁと狙っているところなのですが、この製品をつくっている東山さんの instagram で、自分の漫画ライナーの投稿をリポストしてもらえました。
これはテストで書いたものだったのでびっくりしました。漫画ライナーについては
ここにも書いたとおり、私なんかが使うのはもったいないくらい優秀なペンなので、嬉しいけどなんだか申し訳ない気持ち。
作品ではなく試し書きを取り上げられたこと、昨年にもありました。MARVY(内田洋行)さん。
マービー製品は相当持ってるので作品もかなり投稿しています。目に留めてもらえて本当に嬉しいけど、もう少しちゃんと書いてちゃんと撮ればよかった。
納得行かない作品をお披露目されるのは恥ずかしいけど、メーカーさんに自分の描いたものを見てもらえるなんて夢のような話です。
いつだったか instagram が facebook に入るときは「このサービスは死んだ」ってがっかりしましたが、実際はここのおかげで、年々いろんな意味で "遠い" 人と繋がりやすくなりました。絵描きさんが集まるコミュニティといえば昔から deviantART なんかがあったけど、インスタが違うのはおそらく気軽さ垣根の低さ。そして多様性を受け入れてくれたところ。
一見かなり混沌としていますけど、レコメンド機能が研ぎ澄まされてるおかげで、素敵なカリグラファーや作品に出会えています。ましてやメーカーさんと繋がれるなんてSNS普及前だったらかんがえられないこと。ありがたい。
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[カリグラフィー・レタリング]
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