いざ再開してみたら意外に簡単にできたフラットギルディングですが、その後のスグラッフィートがどうもうまくいかなくて、未だに試行錯誤しています。
ちなみに自分の最終目標は、
金箔だけでなくメタリックマーカー等を使った気軽なスグラッフィートもできるようになることです。
まず、これまでやってきたギルディング後の加工処理
(①②③は、写真をクリックで instagram の当該ポストにとびます。)
いずれの場合も、
[1]着色した文字の上に ⇒ [2]下地をおき⇒ [3]仕上げ材をおき、
最後に [3]を[2]ごと、または[3]のみ削ることで 隙間から[1]の色が見える、という仕組みです。
つまり紙を真横から見るとこんな感じ↓
[レイヤー3] 仕上げ材(メタリックマーカー、金箔) |
[レイヤー2] 下地(グルー類、レジン) |
[レイヤー1] 着色した文字(紙) |
([レイヤー0] 紙) |
①②③は、下地にクラフト用UVレジン、仕上げ材にメタリックマーカーを使っています。
ギルディングしたい文字の上にUVレジン液(クリアカラー)を塗って硬化し、メタリックマーカーで着色し乾いたところを削って模様をつけています。↓
レジン液の粘度が高いため、ごく薄く滑らかに塗るとか細部を塗るのがかなり難しく、また、どうしてもレイズドギルディングになってしまいます。
一方④⑤⑥は、下地に「ミッショーネ+透明水彩インク+適量の水をまぜたもの」、仕上げ材に④⑤は金箔(ゴールドリーフ)、⑥はホイルフレークを使っています。
金箔やホイルフレークを使うことのメリットは、その光沢の美しさ、そして削る際に力の入れ具合で完全に削り取るか傷つけるだけかをコントロールできるので、表現の幅が広がります。
↑文字のアウトラインを強く削り、内部は削りすぎないように傷つけて葉っぱ模様を浮き上がらせています。光を当てる角度によって表情がかわって面白いです。
この下地だと滑らかに薄く塗れますが、乾燥させても完全硬化せずかなりベタベタし続けるため仕上げ材にマーカーが使えません。金箔を使う場合も、普通のギルディングまではうまくいくけどスグラッフィート処理にはやはりベタベタが障害になります。①②③のようにシャープに削れないし、削ってるうちにどんどん汚れていきます。↑の "R" のアウトラインを見るとよくわかりますが、ベタベタ過ぎて完全には削れていまん。
で、やっと本題なのですが
ミッショーネのかわりに、木工用ボンド(PVA)を下地に使えないか新たにテストしてみました。
使ったもの
左から、下地に使ったもの → 仕上材(金箔・マーカー類)→ ひっかくのに使ったもの
まず画用紙にカラーマスターで着色し、そのうえに水で薄めた木工用ボンドをぬりつけて下地とします。水の量は、ボンドと同量かちょっと少ないくらい。さらさらなのでとてもなめらかでうすーくぬれるけど、完全に乾くとしっかり固まって被膜をつくってくれます。木工用ボンドの主要成分はPVAで、自分でスライム作るのにも散々使ってきたので特性を熟知していたはずでした。もっと早く気づきたかった。
同稀釈率のミッショーネほどではないけれど、乾燥後もほんのわずかに粘度が残るので金箔がよくくっつきます。それでいてマーカー類も問題なくぬれました。わずかな粘度とは、手でこすると抵抗を感じるが消しゴムのカスなどはくっつかない状態です。このわずかなべたべたも気になる場合は下地をさらに水で薄めてもいいかも。金箔を真横でスタンバイさせつつ息を吹きかけて湿らせながらやれば、同じ直貼りならジェッソよりは遥かに貼りやすそうな雰囲気です。
そしていよいよ、各マーカーと金箔で仕上げたところをいろんなツールで削ってみました。
(↑各画像をクリックで拡大画像表示できます)
写真だとわかりにくいので、表にまとめると
(a)Brause 851 Iserlohn(リノリウム用ニブ)
(b)PILOT JuiceUP(0.4, インク切)
(c)ATHENAトランサー P-1
(d)NTカッター D-400
(e)ガラスペン(ブランド不明)
(f)AWL SQUARE
(g)キリ
(ア)PILOTペインマーカー ゴールド(廃盤)
(イ)SAMTrading COLOR MASTER Milli Gold
(ウ)東山 漫ライナー カッパー
(エ)MarvyUchida DecoColor PREMIUM Gold
(オ)三菱鉛筆uni ポスカ くろ
(カ)ARCHER&OLIVE Acrylograph
(キ)金箔(ゴールドリーフ)
メタリックマーカー類のなかでは、MarvyUchida DecoColor PREMIUM がよく削れました。もしや乾ききってなくてインクが柔らかかったのかな?とも思いましたが、DecoColor PREMIUM を上回る乾きにくさの PILOT ペイントマーカーは何でやってもうまく削れませんでした。
ARCHER&OLIVE の アクリルマーカーAcrylograph はメタリックではないがよく削れました。一方で三菱鉛筆uni ポスカはあまり削れず。黒ポスカでスクラッチアートしたかったんだけどなあ。まあこんな簡単にできるならみんなとっくにやってますよね...
金箔は、先端が鋭利なものならだいたい削れるみたいです。やはり金箔かぁ。
ちなみに、金箔ギルディングしたりマーカーで塗った面を削らない程度に彫ったりドット状に押し込んだりすると、スグラッフィートとは異なる風合いがでます。試行錯誤の過程でなんとなくみつけましたが、よく考えたらこれエンボッシングの一種ですかね...。昔習ったのと違うとしたら、型紙つかわなくていいのでとても細かい模様も簡単に施せます。
(写真をクリックで instagram の当該ポストにとびます。)
こういったパターン、まだまだ生み出せそう。可能性無限大?
そして次の目標ですが、いまだ解決していないレイズドギルディング、これに装飾を施すことです。
きのう一昨日、ようやくモデリングペーストをつかってみました。
(左の写真)下地にモデリングペーストだけだと金箔を直貼りできる気がしなくて、ミッショーネを混ぜ込みました。赤く着色したのはスグラッフィートしたかったからです。
乾いたあと、結局金箔は直貼りできませんでした。昔のように空気筒作って息を吹きかけてみましたが、全く乗りません(笑) やっぱり教室で作ったジェッソとは違うからなのか?自分の腕が落ちたのか? こんなことならミッショーネをモデリングペーストに混ぜ込むんじゃなくて、モデリングペースト乾いた後に塗ればよかったんだと思います。でもこれって手間が多すぎて嫌だなぁと思いました。2回も塗り作業があるんですよ。
(右の写真)なのでけっきょく金箔諦めて PILOT ペイントマーカー GOLD で塗りました。けっこうきれいにできたんだけど、マーカー以外の理由で紙が汚れました。モデリングペースト完全硬化のあとに、サンドペーパー(#2000) → ステドラーのマルチイレーサー(砂消しをだいぶソフトにしたようなもの) → ネイル用の仕上げファイル の順にかけて磨いてったので、文字がつやつやになるのと引き換えに、紙が赤くなっていったのです(;´༎ຶД༎ຶ`) それをごまかすために色鉛筆で文字の周りを塗ったのです。なんかもういろいろうまくいってません。各ポイントで常に判断ミスしてる感じ。
しまいに表面を削ってみるも
うーーーーん。こういう表現もアリだとは思うけど、なんというかただの彫刻?少なくともスグラッフィートではない。下地の赤が全く見えない。
ちなみに、上述のフラットギルディング実験の際にも、この"G"のときと同じ PILOT ペイントマーカー GOLD を使ってて、フラットでも殆どのツールで削れていませんでした。このインクは自分のやりたいことに不向きなのかも知れません。でもこれ、とにかくミラー感の強いインクなので、つい手に取ってしまいます。
実はPILOTさんの「ペイントマーカー」はほかにもあるんだけれど、私がつかっているのは廃盤になったほうです。こんないい製品がなぜ廃盤になってしまったのか理由はわからないが、匂いから察するにキシレン入りかなぁ。今買えるほうの同社のペイントマーカーよりはるかにミラー感強いです。マーカーに限ると、ここまで強いミラー系インクは国内メーカーではもう見あたらなくて、海外製の含め知ってる範囲だと molotow の LIQHID CHROME とかくらい。ギラギラ系インクは油性も水性もたくさんあるんですけどね。
また話が脱線しました。
書きながら今猛烈に眠いのですが、昔習ったことに加え昨今試したことを忘れないうちに書き留めました。ちゃんと書けたかな・・・
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[カリグラフィー・レタリング]
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