大変お久しぶりです。最近はとても元気に過ごしています。
過去の投稿から辿って Amazon で購入くださった方々...がまたここに戻っていらっしゃることはまずなさそうですが、どうもありがとうございました。書き続ける励みになります。
また、拍手欄からレジンの記事へ非公開コメント送ってくださった方、どうもありがとうございました。書き留めておいて本当によかったです。返信メニューがないためこの場で御礼申し上げます。レジンの記事だけ急にアクセスが増えたので何かあったのだろうなとは思っていましたが、おかげさまでどこで紹介されたのか辿れました。
今回は、多くの方には興味も共感ももたれないであろうカリグラフィーマーカーのレビューを書きに来ました。
購入以来かなり寝かせてしまったダイソーさんのカリグラフィー用ツインマーカー(染料インク)。買っていたことさえ忘れて先日もう1セット購入してしまい、帰宅してから気づきました。
下の2本はダイソーさんではなくてキャンドゥさんかもしれない...すみません
なんとこのマーカー、筆ニブとブロードニブがついています。
キャップが甘くてインク飛びまくりの百均アルコールマーカーはこの数年常に品薄状態の中、こちらは店頭でずっと売れ残っています。ダイソーさんに限らずキャンドゥさんもセリアさんも、なぜアルコールマーカーはよく売れるんでしょうか。自分も全種一通り試しましたが「お値段なり」品質であることが非常にわかりやすい製品なのに、明らかにリピーターがいるのではと思われます。他の手に入りやすいメーカーさんのが軒並み高いからでしょうか。
一方、古典的なカリグラフィーをする人しか手に取らないであろうブロードニブタイプのマーカーは、巷では呉竹さんのものくらいしか手に入りませんが、100円台から買えます(定価は200円)。ただ、滅多にお目にかかれません。たぶん画材店に行かないと買えません。この状況が変わらないうちは、つまり皆は欲しがってないからだと判断できますよね。
近年少しずつではあるけれど、日本でもカリグラフィー人口が増えています。先日とあるグローバルメーカーさんに伺った話だと、コロナ禍に入ってからいっきに増えたそうです。それは主に筆ペンを使うモダンカリグラフィーのことだと思われます。モダンカリグラフィーの人口が増えればそこから古典的な書体に興味を持つ方が増えるのは自然なことでしょう、でも日本国内についていえば、ワークショップや書籍の数を見る限り実際の増え幅はそうでもないと思われます。
以上のことを踏まえると、名だたるメーカーさんが国内でこの手の新作出さないなか、ダイソーさんがブロードニブを(たとえブラシのおまけだとしても)販売してくれたことをとても嬉しく思います。古典カリグラファーを忘れないでくれてありがとう!って感じです。今の売れ行きからするとしばらく追加生産はなさそうですが...
前置きが長くなりましたが、
今回は呉竹さんの ZIG Calligraphy シリーズ(顔料インク) / Scroll & Brush(染料インク) と比較させていただきました。ダイソーさんあるあるで、この製品も製造元が明記されていませんが Made in Korea です。
ブロードニブは幅3.5mmで呉竹さんの Calligraphy Ⅱ と同じです。形が違うだけでよくあるチゼルニブと材質は同じでしょうから、製造自体はそう難しくないのかもしれません。並べると幅は同じでも厚みが全く異なりましたが、インク排出量には問題なく全体的にしっかりしていてエッジも効かせやすく、カリグラフィーシリーズと比べてまったく遜色ない書き味です。
左が呉竹さん、右がダイソーさん
このニブの厚み....他社さんのブロードニブでは詰まりやすいメタリックインク以外で見たことありません...
ちなみに、レッドだけ不良品でなんとニブが裂けていました。これほどに硬いニブが裂けてるって、経緯を想像するとちょっと怖い。
↑右端が縦に裂けていたので、ピンセットで引っこ抜いて除去したあとです。
2本で100円なので仕方ないですかね。
一方、ブラッシュニブは半分辺りからしか曲がらず、しなりにくいものでした。これではブラッシュレタリングビギナーが正しく抑揚つけるのはやや難しいと思われます。
左が呉竹さん、右がダイソーさん
韓国産ということでブロードよりむしろブラシのチップに期待していたので残念な結果となりした。
筆跡からはわかりにくいけど、描き心地が全く異なります。呉竹さんのニブの凄さを再確認しました。
ニブが半分からしか曲がらないと書きましたが、要するにトンボ鉛筆さんのABTやマービーさんの Le Plume Ⅱ などと同じタイプで、お絵描き用のブラッシュニブとしては申し分ないもので、使い続けたらもしや百均とはおもえない耐久性を発揮するのかもしれません。韓国産ということでブラッシュニブの強さについてはお値段以上の期待を寄せています。
今後なるべく使い続けて検証していきたいと思います。
.....もうどのくらい経ったでしょうか。ここの更新をお休みしている間に、インスタグラム上で交流のあった絵描き仲間が急逝されました。
彼女はサムトレーディングさんのカラーマスターが大のお気に入りで、私がカラーマスターのインクを水筆でとって描いているのを知って話しかけてくださったのがきっかけで交流が始まりました。「このような使い方をする人を自分以外に見たことがない」と。カリンマーカーやABTなどインフルエンサーが多くついてる製品でこの手法のPR動画がたくさんあるなか、この言葉は彼女がいかにカラーマスター一筋だったかを表しています。
彼女のインスタグラムはいつもオリジナリティあふれる作品が渋滞していて、投稿してもしてもしきれないように見えました。毎日毎日、更新されない日はありませんでした。母と同い年とは思えないことには、アナログだけでなくデジタルも使いこなし、リールもストーリーもLIVEも配信していました。彼女の辞書には「不可能」という言葉がなかったようです。それを無理にしている様子もなく自然にやってのけ、パワフルな太陽のようにいつもそこにあって当たり前のようにみんなを照らして、そんな方とときどきお話できるのは私にとってとても幸運なことでした。
次第にコメント欄よりメールでお話する機会が増え、その殆どが沼の話でした。彼女は鋭い洞察力をもって好き勝手を言うようで、話しながらも相手の小さな変化に気づく繊細な面も持ちあわせていました。画面を通して接するだけで不思議な元気をくれる、作品だけでなく人間としての魅力にもあふれた方でした。
彼女が突然いなくなってしまってから、マーカーを握るだけでつらくなり、しばらくは描き続けることが難しくなりました。どうしてみんなを置いてひとりだけいってしまったのか、こちらはこんなに思っているのになぜ一言も返事を与えてくれないのか、ひどい、ずるいではないか、と暗い気持ちで理不尽に責めた日もありました。自分でさえこれほどショックなのだから、より親密だった彼女の生徒さんやメーカーさんの悲しみは察するに余りあります。あふれる追悼ポストは見るのもつらく、およそ受け入れる気持ちにはなれなくて、最近は別のアカウントをつくってそちらに退避していました。
彼女が旅立ったあとに発売されたお気に入りシリーズの新作は、1セット多く手元に置いて一番楽しみにしていたであろう彼女にお供えし、自分なりの手向けとしました。たぶん本人は「うっかりこっち側にきちゃったんですけど〜」って笑いながらあいかわらず毎日描きまくってると思うので、あのはんぱない消費量に思いを馳せたらそのタイミングで今後もお供えしようと思います。共通のお気に入りが手元にある限り使うたびにあなたを思い出してますし、どうせ自分もそのうちおなじところに行くので、あらたまって表立っての追悼はしません。いいですよね先生?
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